中秋の名月を部屋から眺めていたら、ふと月に疑問を持ちました。当たり前のようにあるけど、何でそこにあり続けるのか。
そして、もし月がなくなったら私たちはどうなってしまうのか。
そんな思いで月について調べていくうちに、月が地球にもたらす影響が大きすぎることがわかりました。
月がなくなったらどうなる?
今現在、月が地球にどんな影響を与えているか考えれば、月がなくなったらどうなるのかわかるのでは?
こんな考えで、月の影響についてお話します。
新月から満月までの変化が楽しめなくなる
よく知られていますが、月の見せる形は毎日変化をくりかえしています。
これは月が太陽の光をうけて輝いており、光をうけていない部分は影となるからです。
地球と月は、いつも半分だけしか光が当たっていないので、反対側は影となってしまいます。
そして、月は地球のまわりを回っています。
そのため、普段私たちが見ている月は、当たり前のように日によって形が変わっています。
月の公転による満ち欠けの周期もなくなる
地球は太陽の周りを365日、つまり1年かけて1周しています。
これを地球の公転と言いますが、同じように、月は地球の周りを約27.3日かけて公転しています。
しかし、実際の月の満ち欠けは約29.5日の周期です。
29.5日 - 27.5日 = 2.2日遅れ
月の満ち欠けはの周期と、公転の周期が違いますが、じつはこれ地球そのものの公転が影響しています。
月が27.3日かけて地球を公転した時には、すでに地球は違う位置にいます。
月も地球と一緒に移動していますので、27.3日後には月が輝く部分が変わっています。
そのため月が同じ形で見えるようになるのに、約2.2日の誤差が出て、結果的に月の満ち欠けは約29.5日になっています。
同じ面しか見せない月がそもそも見えない
現在、月の裏側を映像・画像でなく、肉眼で見る機会はありません。
日本ではウサギの形でおなじみですの月ですが、なぜ反対側が見えないのでしょうか。
これにも月の回転に秘密があります。
地球は1日24時間、一方で月は、約27.3日かけて自転しています。
約27.3日、さきほども出てきた日数ですね。
月は自転と公転が約27.3日と全くおなじ周期で、月が地球を1周する間に、月本体も1回転しています。
月の裏側はクレーターが多くあります。
これは常に同じ面を地球の背にしているため、隕石の衝突回数が表側にくらべ多いからです。
月がおなじ面しか見せないのは常識ですが、それでも偶然では片付けられない、神秘的な何かを感じてしまいます。
赤い月も楽しめなくなる
日の出や夕焼けの太陽はオレンジ色にみえます。
太陽だけでなく月も普段の明るく白っぽい色だけでなく、赤色に見える時があります。
空の低い位置にある月は、日の出や夕焼けの太陽の色に似ています。
これは月からの光が、地球の大気を通過する際に、空気中のチリや水分などで光が乱反射しているからです。
虹に見られるような7色のうち、青色などの光は波長の短くなり、その光が私たちの目に届かなくなるために起こる現象です。
また、高い位置にある月でも、赤く見える場合があります。
それは山火事や噴火などで、大気中のチリやホコリなどが多いときです。
大気中を通る距離は短くても、チリなどで光が乱反射し散りばめられる量が増え、赤っぽい光の色だけが私たちに届きます。
同じ大きさに見えた月と太陽なのに月がいなくなる
地球から見える月と太陽の大きさは、ほとんど同じように感じますが、実際のところはどうでしょうか。
月の直径は約3,500km、太陽の直径は約1,400,000kmです。
桁が違いますよね。
太陽は、月の約400倍の直径(長さ)を持っています。
そして、地球から太陽までが距離も、地球から月までの約400倍の距離があります。
基準点から対象物までの距離と、その物の直径の比が同じであれば、基準点から見える物の大きさは同じに見えます。
つまり直径と距離の比が400対400、つまり1対1で同じ比率のため、月と太陽の大きさがほぼ同じに見えるのです。
皆既日食と金環日食を見て騒げない
太陽と月の大きさが同じくらいに見えるため、地球では日食と月食という不思議な現象が発生することがあります。
これらの現象は、新月のときに太陽と地球と月が一直線にならんだら見られるものです。
日食とは太陽と地球のあいだに月が入ったときにおこり、下図のように、地球の一部分で太陽の光がさえぎられる現象です。
地球から見た太陽と月の大きさは、ほぼ同じですが、厳密には見た目の大きさは一定ではありません。
地球と月の公転軌道は、完全な円ではなく楕円形となっているからです。
そのため、時期によって見た目の大きさはすこし変化しています。
月が太陽より大きく見える時期の日食は、太陽が完全に隠される皆既日食になります。
逆に太陽が月より大きく見える時期の日食は、太陽の外輪が見える金環日食となります。
月食も見て騒げない
月食とは太陽と月のあいだに地球が入り、月が見えなくなる現象で、満月の時におこります。
そのとき月が観測できる場所であればどこでも体験できます。
月が完全に地球の影に隠れますが、暗闇となるわけではなく、暗くて赤っぽい色の月が観測できます。
これは地球の大気中を太陽の光が通ると、光の一部がすこし屈折し、地球の影を進んで赤い光が月にとどきます。
月がなくなったら今の地球は大きく変わる
月が地球にもたらす影響を見ていきましょう。
この月の影響がなくなられば、地球がどうなるかどうなるのか、考えるだけで恐ろしくなります。
月の引力による満潮と干潮(潮汐)
海には潮の満ち引きがあり、月の影響で一番知られている現象で、日本では潮の干満の差が最大約6mになる場所もあります。
これは地球に働く月の引力によるものです。
月から近い場所では月の引力が大きく海水が集まり高く盛りあがり、逆に月から一番遠い場所では月の引力の影響は小さくなります。
しかしそこでは、地球の自転の遠心力で海水が外へ押しだされるため、海面が高くなっています。
2か所が同時に海面が高くなります。
そのため、両側に海水が引っ張られた分、中間部分では海面が下がり、地球上では常に満潮と干潮が2か所存在します。
地球は1日1回転するので、同じ場所で満潮と干潮はだいたい1日2回ずつ訪れます。
だいたいと言ったのは、月の公転(約27.3日)の影響で、毎日約50分ずつ干満時刻が遅れるからです。
とりあえず満潮と干潮がなくなれば、小豆島のエンジェルロードが見れなくなります。
いやぁ、おそろしい。
太陽の引力による影響
潮の満ち引きは太陽の引力の影響もうけていますが、月にくらべたら約400倍遠いわけですから、月ほどの影響力はありません。
しかし、太陽と月が一直線に並ぶとき、海水を引っ張る力が一番強くなります。
このときに潮の干満の差も最大となり、これを大潮と言い、新月と満月のときに起こります。
反対に、満潮と干潮の差が一番小さいときを小潮と言い、上弦と下弦の半月のときに起こります。
月がなくなったら、大潮や小潮も関係ないですけどね。
日本に四季があるのは月のおかげ?
地球は公転の軌道に対し、23.4°傾いて自転しています。
この自転軸の傾き自体は、それほど珍しいことではなく、太陽系の水星以外の惑星はそれぞれの角度で傾いています。
しかし月がすごいのは、月の引力で地球の傾きを23.4°で安定させているところです。
木星が地球に近い時期は、木星の引力で地軸の傾きを変えるほどの力が働きます。
でも実際には、木星の影響より月の引力が圧倒的に強いため地軸は安定しています。
この地軸の安定は、月の大きな引力があってこそです。
太陽系には、地球のほかにも衛星をもつ惑星があり、月より大きな衛星もあります。
しかし、惑星に対する大きさの比率でいえば、月は地球の約4分の1の直径で断トツのトップです。
月がなくなって地軸が1°でもズレると、地球では大規模な気候変動が発生します。
日本の四季がはっきりわかれ、毎年やって来るのも月のおかげだと言えますね。
まとめ:月がなくなったら
地球に対する月の影響を紹介しましたが、月がなくなったら地球と人類はどうなるのでしょうか。
恐ろしいことですが、月は毎年約3~4cmずつ遠ざかっています。
遠ざかる理由は諸説あり、潮の満ち引きの影響であったり、宇宙の膨張による説であったり。
しかし、
月が地球から遠ざかっていくのは事実です。
海水は月の引力で引っ張られ、潮の満ち引きが発生しますが、このとき海水は月の方向に動きます。
しかし、地球は自転方向に動こうとし海水と海底で摩擦が発生し、地球の自転を止めるブレーキとして働きます。
現在もほんの少しずつですが、地球の自転は遅くなっています。
地球の自転スピードが遅くなると、バランスを保つため月は少しずつ地球から離れます。
私たちの寿命では、せいぜい3~4mほどしか遠ざかりませんが、地球規模でいえば深刻かもしれませんよね。
現在より6億年前は、地球の1日は22時間でした。
そして10億年後には、1日約31時間になると考えられています。
いつもさりげなく輝いている月、偶然の出来事がもたらした地球にとってかけがえのないものです。
月は私たちにとって、なくてはならない存在で、「もしも月がなくなったら…」なんてことは考えたくもありませんね。